【勉強継続法】ADHD×大学受験の相性は最悪だが、なんとかなるかもしれない。

 

はじめに

ADHDとの死闘の結果大敗しまして、双極性障害(躁鬱)になってしまいました。一当事者として、死闘により得た知見を共有したくて、このエントリーを書くことを決めました。主にADHD受験生に向けて、先駆けとして伝えられるモノがいくつかあるので伝えていこうと、そういうわけです。よろしくお願いします。

※長話に付き合ってられない方は太字のみを拾い読みすることをオススメします。もしくは、本題の「勉強を開始するために」から読み始めてください。

※以下断定的な物言いになる場面がありますが、全ては非専門家の筆者の主観ですので、参考までに留めて頂けると幸いです。

※珍しく(?)主張が強い内容となっております、ご注意下さい。

 

ADHDを“障害”たらしめるモノ

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状は、その名の通り「注意欠陥」と「多動」に二分されます。本エントリーでは上記のうちの「注意欠陥」に焦点を当てて話を進めていきます。

さて、ADHDを障害たらしめるモノとはなんでしょうか。僕の考えでは「制御不能な拡散性」、これです。“拡散”とは“集中”の対極に位置する状態です。例えば、「集中できない」という状態は「(注意が)拡散している」と表現できます。また、ポップコーンのように湧く思考や、止まらない脳内BGMは「思考の拡散(or多動)」と表現できます。

ところで、「受験勉強は当然集中してやるものであり、集中時間や深度は勉強の質に直結している」ということは、受験生の多くが認める事実でしょう。ここで、ADHD特有の拡散性こそ、受験勉強を障害する直接的原因であるという理解ができるのではないでしょうか。

 

受験勉強の本質

結局のところ、受験勉強は「何ができれば」合格できるのでしょう。そりゃキミ、勉強に決まっているじゃないか!……その通りです。「勉強をしなさい」「課題をしなさい」「小テストの勉強もしなさい」「なぜ勉強しないんだ」……高校の進路指導がいつも我々に言うのは、「勉強をしろ」ということです。確かに、勉強をせずに合格することなど不可能です。しかしながら、受験生にかけるべき言葉は、果たして本当に「勉強しなさい」なのでしょうか?さらに言うと、あなたが自分に掛けるべき言葉は本当に「勉強しなさい」なのでしょうか?

では、あなたは勉強をしている人間に勉強することを命じますか?

これは明らかにノーでしょう。勉強をしていないから「勉強しなさい」となるのです。確かに勉強するべきなのは正しい、しかし、「勉強をしなさい」と叫ぶような指導は誤りであると、僕は考えます。勉強をすること自体に問題がある生徒にとっては重荷でしかありません。

勉強せねばという意識は、自分が現在勉強をできていないということの裏返しです。この問題意識をわすれずにいてください。ここで、僕は解決的な思考をしてほしいのです。「どうすれば勉強が継続できるか」から考えていきましょう。よろしくお願いします。

 

戦うな

ADHDと戦うのは避けた方が無難です。冒頭に示した通り、僕はADHDに抗うように戦い、敗れました。それだけではなく、双極性障害(躁鬱)を発症し、今も憂鬱な毎日を送っています。対人不安もぶり返し、通学が苦痛でしかありません。

再度確認をしますが、ADHD発達障害であり、発達障害を孕むのは他でもない自分です。ADHDに抗うことは往々にして自分自身を傷つけることになります。おそらく、死ぬまで勝てません。自分を責めないよう、あくまで解決的な思考をしましょう。よろしくお願いします。

さて、ADHDと戦わずしてどうやって受験勉強を“継続” “集中”するのかですが、僕の一年間の情報収集と実践と考察の結果を以下に記します。普遍性,再現性を追求したテクニックであるので、他の方にもそれなりに適応できるものと考えております。

 

①勉強を「開始」するために

→勉強を開始できない原因から攻める

  • モチベーションがない場合

そもそもモチベーションとはなんでしょうか。勉強を開始できない理由をモチベーションがないから、と決めつけるのも結構ですが、その決めつけには何の価値があるのでしょうか。モチベーションとは何で、どういう時に出るのか。これがわからない以上、モチベーションに頼るべきではありません。

そこで、習慣化の力を借りましょう。最小の努力(意志の力が必要ないほど簡単なもの)を継続し、勉強を習慣化するのです。「なんだ、そんな単純なことかよ。長話に付き合って損したわ。」なんて声が聞こえてきそうですが、あなたはそんな単純なことすらできない、違いますか。そう、もちろん、簡単にこれが達成できるほど発達“障害”は甘くはありません。

行動できないなら強制力が必要です。僕はリマインダーを仕掛けることをおすすめします。自作ポエムを添えて、感情に訴えかけるようにすると、尚良しですね。

それでもできない方、ちょうど僕みたいな人間にオススメするのはif-thenplanningです。if-then planningとは、「もし○○ならば、そのとき××する」という形でスケジュールを組む方法のことです。

勉強ができないとはいえ、毎日眠る時まで部屋の壁を見つめてぼーっとしている、なんてことはないと思います。何らかの習慣的動作が勉強を妨げている、違いますか。ゲームなどがそうです。その時に威力を発揮するのがif-then planningです。「悪習慣は置換せよ」、僕の座右の銘です。悪習慣は他の習慣に置換してください。例えば以下のようにします。

例:「もしスマホを開いたら、Twitterより前にリマインダーを開く」

ポイントは「Twitterより前に」です。リマインダーを開いた後に、Twitterをしてよいことを暗示しておくことで、リマインダーを開くという動作にモチベーションを生みます。また、リマインダーを開くという動作のハードルを下げる効果もあります。

僕の場合、リマインダーを開いた後にTwitterを開くこともあれば、そのまま「ちょっとやってみようかな」なんて思い立って勉強を始めることもあります。もしリマインダーを開いたら、30秒だけリマインダーの内容(TODO)をやってみる、なんてプランニングもいいと思います。

余談ですが、オススメとして「もしスマホをいじっていて「何やってんだろ自分は」とふと我に返り虚しくなったとき、勉強をしてみる」なんてものがあります。ありませんか?ふと我に返り虚しくなること。そこで自責をするのではなく、勉強をしましょう。よろしくお願いします。

 

②勉強を「継続」するために

→意識と思考の拡散を防ぐ

  • とにかく気が散る場合

他のことを考えてしまう場合は筆記開示をするといいです。頭に浮かぶ言葉を全て、紙に書き出しましょう。後に残すべき内容だと思ったら畳んで机の中へ、どうでもいい思いつきであれば丸めて捨ててしまいましょう。一番大事なのは、浮かんでくる思考に囚われないことです。すぐに自分の外に書き出してしまいましょう。

  • それでも気が散る場合

部屋を掃除しましょう。集中したい対象以外は部屋の外に出してください。そんな大袈裟な、と思うかもしれませんが、ここは徹底的にした方が遥かに効果的です。

場所を変えるのもよろしいかと思います。カフェか図書館か、はたまた学校か。是非集中を妨げるものを減らしてください。耳栓をするのもオススメです。効率は低下しますが、音楽を聴くのもナシではないかと思います。

△ポイント

ここまでの内容におけるポイントは、「まず始める」と「続ける」で段階を分けることだと僕は考えます。始める段階では継続することを考えないようにしてください。目の前のことだけに集中するようにして、頭を働かせ過ぎないようにするといいです。余計な思考が「今この瞬間」に集中することを妨げます。

 

③特有の「飽き」対策

  • 参考書はハマるまで転々とする

ADHDはただでさえ集中して物事を行うことが難しいと思います。なるべく集中できる、ハマる参考書を使うようにしましょう。僕はやっとハマる参考書を見つけましたが、やはり、今までとは全く効率が違います。

  • とにかく書け

飽きが生じる原因は、僕が思うに大きくわけて二つです。

「やったことの成果が見られない」

「成果が現れるのが遅い」

まず書いてみましょう。なかなか成果が現れにくい勉強において、「これだけやったぞ」という達成感は大きな意味を持ちます。目的と手段を履き違えるな、という主張もありますが、我々がまずすべきなのは、勉強を開始し継続することであり、効率を追求するのはその後ではないでしょうか。

成果について、過集中についても少し。

過集中は、これは僕の霊感ですが、作業興奮に非常に近いものではないかと考えています。その作業をすることが、あるいは集中することが楽しい。楽しいからドーパミンが出る。故にさらに集中する。このような連鎖が関係しているのでは、と。

 

④一番大切なこと

ADHDに抗わないという基本姿勢を大切にしてください。特性は敵に回すと障害になります。僕の通う精神科の医者は「良い面悪い面が表裏一体だよ」と言いました。主語はありませんでしたが、それは文脈により明らかでした。僕もその通りだと思います。無理はしないように、いや、無理をしなくてもできるようにすべきであると考えます。どうか、鬱にならないよう。自責ではなく、解決的な思考をしてください。よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

おまけ:当事者の経験談

僕は典型的なADHD児でした。小学校低学年のときには席を頻繁に立ち、そのたびに叱られしぶしぶ席に戻るような問題児でした。(特別支援学級に入ることも検討されたようでした)

多動に自制が効くようになってからも注意散漫は続き、授業の大半を眠りに費やし、たまに顔を上げた時に見えた板書のみで勉強をするような生活が続いておりました。

一方では、小学四年の頃から某オンラインアクションゲームにハマり、寝食を退けて深夜までゲームに没頭していました。学校での注意散漫はどこへやら……。当時の集中力から考えても「ADHDには集中力がない」という理解には疑問符が浮かびます。(「拡散力が強いだけではないのか」)※精神科受診は低学年の頃からしていたようですが薬が合わず、中学校入学と同時に受診は中断されたようです。

ぬっと言う間に月日は経ち、高校受験の日になりました。正直、面接以外は余裕で合格をしましたが、過去問では殆ど点を落とさなかったのに関わらず、本番では失点が多数みられたのは自分でも驚きでした。

ある日、東京大学志望に際し青チャート数Ⅰ・Aを購入したことを覚えています。高校入学までに時間があったので、予習をしてやろうと考えた訳です。しかし、当然ながら継続することができず、青チャートは枕と化しました。しまいには、高校で青チャートが配られてしまい、初代青チャートは、いよいよ何の役にも立たず本棚にしまわれたのでした。

先程、東京大学を志望したと書きました。志望理由はともかく、この「早期に志望を固める」ということは、その後の僕の人生を鬱に向かわせる最も大きい要因となりました。

高二には合格点を取れるようにという、素晴らしい勉強計画を立て早二ヶ月、僕は早くも焦っていました。全く勉強ができないのです。ここでの「勉強ができない」はもちろん、「勉強をすることができない」です。集中力の低さは浮き彫りになり、週末課題は全く手を付けず、定期テストはこれまた全く対策しない(正しくはできない)まま月日だけが過ぎていきました。偏差値は国語が60英語が65数学が50でした。ここで特筆するべきは、僕自身この現状にとても焦り、また強烈に自責していたことです。やかて僕は鬱になりました。毎日の食事は砂を噛むようで、空きっ腹への食事すら喉を通らないような生活。仲の良い友達との談笑が、妙にバカバカしくて常時上の空でした。この頃から強烈な対人不安もぶり返し、毎日の通学はただの苦痛と化したのでした。

ある日の帰宅後、ソファに座ったっきり身体が全く動かなくなったときに、精神科受診を決意しました。長期間通院を中断していたため初診の扱いになり、予約待ちは二ヶ月と、当時の僕には長すぎるものでした。予約待ちの間も僕は崩壊し続けました。精神科受診の日があと三日遅れていたら、恐らく僕は自死を選ばないまでも、大変な自傷行為に走っていたでしょう。精神科で抗精神病薬を処方され、文字通り一命を取りとめました。しかし、これを書いている今尚、鬱は続き、薬は初診の頃の四倍の量となりました。医者も「薬がドンドン増える…」などとボヤいていたのが印象的でした。

願わくば、他の発達障害者の方々には同じ苦しみを味わってほしくありません。

自分を責めないでください。解決的な思考をしてください。そのための材料はネットに沢山転がっていますし、当ブログでも発信していきます。よろしくお願いします。